頭ん中

しがないITエンジニアが、考えた事を書きます。

『Bullshit Jobs:クソどうでもいい仕事』

たまたま原著に目(Audibleなので耳)を通していたので。

ツイートのリプ欄は、様々な職業への蔑みのコメントで荒れて、ツイート主の藤田孝典さんは、原著の趣旨から外れることを憂いている。ただ、福祉職やその他現業職の待遇を守るという立場からの発言とは言え、自身もまたコンサルなど待遇に恵まれた職業への価値評価を疎か(もとい攻撃)しているように見えるので、身から出た錆としか思えない。

Bullshit Jobs=クソくだらない仕事

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あらすじ

著者の主張は確かに過激で、リサーチャーだとかマーケターだとか企業弁護士みたいなBullshit Jobなホワイトカラーは消えて構わないし、こんなのが蔓延るのは経済的な効率化を是とする資本主義の膿だと指摘します。

そしてこれらは労働者を無理にでも働かせ社会を支配せんと目論む支配階級の陰謀だと。ジョークめいたタイトルと裏腹に、かなり壮大な話です。*1

感想

ノンポリなので陰謀とか社会革新の話は正直ピンとこないのですが、僕がこの本を読んで感じたのは、自身の仕事に価値・意味を見出せるのかという労働者本人の認知の課題です。

本の中には、客観的にBullshit Jobsの定義が体系立ててまとめられていますが、私はそれよりも、自分の仕事を無駄だと思いながら続けるという主観的なBullshit Jobsの存在の方が、よっぽど哀しく、そして解決すべき問題のように思います。どうしたら自分の仕事に対して誇り・やりがいを持てるようになるのでしょうか?

著者は、Bullshit Jobsに気付かない無知で愚かな経営者に対して、未必の故意的な責任を追及しています。私も往々にして企業の経営者や管理者には労働者の認知を助ける活動が足りてないよなぁと感じることが多いです。ワークエンゲージメントとかいうやつですかね?具体的には以下のような単純な働きかけの話だと思います。

  • 労働者に仕事の価値を説明して納得してもらう
  • 労働者へ正当な評価・待遇を与える*2

これらを実践することで従業員のエンゲージメントは高まり、また無知だった経営者も現実に目を向けて真に無駄な仕事に気付く。こうやって、主観的なBullshit Jobsも、客観的なBullshit Jobsも、どちらも自然に淘汰されていく(ちょっとは減るんじゃないか)と、性善的ですが信じています。

職業に貴賤なし

最初のツイートに戻ります。職業差別とか賤業なんて言葉は前時代に置いてきたはずでしたが、現実はそうでもないようです。

営業と製造、コンサルと開発、アプリとインフラ、こんな職種間の対立に心当たりがある人は多いと思います。私もコンサルは嫌いだし、意味の無い仕事してる癖に偉そうにしやがって、と思うことはあります。

他にも公務員のように半分蔑みのように無駄を叫ばれる職種があったり、発注者と受注者、労働者と使用者みたいな本質的に利害が対立する職種なら尚更酷い対立があるでしょう。相互尊重の精神が失われたとき、偏見や差別というのはすぐそこにあります。

ところで、この人たちの仕事は本当に全部無駄なんでしょうか?無駄のない仕事をしているのでしょうか?僕にはわかりません。

仕事の価値を見出すって本当に難しいことで、自分の仕事の価値すら認識できない人が多いのに、他人の仕事の価値まで把握する余裕なんて普通は無いよなぁと思うのです。*3人間が仕事の価値をスマートに判断できないために、Bullshit Jobsや職業の貴賤なんてのが生まれるんだと思います。

それでもそんな人間の限界を憎んで、Bullshit Jobsを減らし職業に貴賎のない世の中を目指すのであれば、Bullshit Jobsや賤しい職業が何かを探し出して定義する=他人の職業を貶めるような賤しい行為はやめませんか。

*1:正直、僕のクソみたいな英語力では特に後半の理解はちょっと怪しい

*2:*おそらく藤田さんもこうした雇用者側の責任に言及しているのだと思います。

*3:あるいは自分の仕事の価値に絶対的な自信を持つあまり、周囲を低く見積もってしまうのかもしれない。自身が正当な評価を受けている実感と精神的余裕があれば、こうも攻撃的にならずに済むのに。