頭ん中

しがないITエンジニアが、考えた事を書きます。

『ハッカーと画家 コンピュータ時代の創造者たち』

ポール・グレアム氏の書くエッセイは明快かつ痛快で、Joel on Softwareのジョエル・スポルスキもそうだけど、ハッカー特有の軽い論調は、本当に心地が良い。

ハッカーと画家 コンピュータ時代の創造者たち

ハッカーと画家 コンピュータ時代の創造者たち

後半のLisp至上主義やJavaエンジニアを馬鹿にするところに、ハッカー特有の独善的で挑戦的なものを感じますが、同時にユーモアや 機知に富んだ、幅広い知識・視点の論旨はブレません。 自分のキャリアの目指す先にハッカーがあるわけではないと思いますが、こういうハッカー思考が大切だと感じると同時に、こんな感じのウィットで皮肉めいた比喩がぽんぽん出てくる人に憧れます。

第0章 メイド・イン・USA

アップルは元気づけられる例だ。ソフトウェアを書くのに必要な、短気でハッカー的な精神を十分残していながら、アップルのノート PC を手にすると、それは米国的には感じられない。米国製にしてはうまくでき過ぎている。まるでスウェーデンか日本の企業が作ったみたいに

  • この章に限らず、00年代のAppleGoogle(そしてやはりこき下ろされるMicrosoftや過去の遺物扱いのIBM)等の企業、Webサービスの今後が予測されており、答え合わせしながら読めるのが面白い。

第1章 どうしてオタクはもてないか

学校のランチテーブルを人気の度合いで区分けした地図>

  • オタクの原文は今でこそ有名になった「ナード」。

第2章 ハッカーと画家

計算機科学とは、ほとんど関連のない分野が歴史的な偶然からいっしょくたに袋に放り込まれたもので、言ってみればユーゴスラビアみたいなものだ

  • こういう言い回し好き。

画家は作品を足跡として残してゆくから、彼らが絵を描きながら学んでゆく様子をうかがい知ることができる。画家の作品を年代順に並べてみれば、それぞれの絵はその前の絵で学んだことの上に創られていることが分かるだろう。絵画上でうまくいったものがある時、通常はそれより前の作品群の中に、より小さな形でのバージョン 1を見て取ることができる

  • 情報工学西洋美術史という一見何の接点も無い2つが、抽象化した上で大胆に結び付けられています。

第3章 口にできないこと

道徳にも流行がある

第4章 天邪鬼の価値

第5章 もうひとつの未来への道

だって Web ベースアプリケーションを負かすには、ブラウザというモデルを壊さないとならないからね

第6章 富の創りかた

第7章 格差を考える

エドワード朝の子供たち

第8章 スパムへの対策

第9章 ものつくりのセンス

ずっと未来にも良く見えるものを作れたとすれば、それはそのものの真価が受け入れられたわけで、流行に乗ったからではない

第10章 プログラミング言語入門

オープンソースソフトウェアは、専門家同士で審査される論文のようなものだ ハッカーの一部は、自分の慣れた言語を好み、ほかのすべてを嫌う。他のハッカーの一部は、すべての言語は同じだと言う。真実はこの両極端のどこかにある

第11章 百年の言語

COBOLは)ネアンデルタール言語なんだ

第12章 普通のやつらの上を行け

第13章 オタク野郎の復讐

第14章 夢の言語

各言語は次第に Lisp に近づいてきている

  • 著者の独善さが暴走しはじめる

第15章 デザインとリサーチ

第16章 素晴らしきハッカー

マイクロソフトは、大企業でありながら社内でソフトウェアが開発できているという点で非常に特殊だ

だが Google は検索は退屈なものだとは思わなかった

Java のプロジェクトで働くために雇われるプログラマは、 Python を使うプロジェクトで雇えるプログラマほど賢くはないだろう

GoogleJava プログラミングの求人広告を出す時、賢明にも Python の経験を要求している